越境ECの拡大とSNSの影響力の高まりにより、ソーシャルコマースが注目を集めています。
SNS上で商品を見つけ、ECサイトやSNS経由で購入するという購買行動が一般化する中、スムーズな決済体験の提供は不可欠です。
特に、国をまたいで商品を販売する場合、ユーザーが普段使っている決済方法に対応していないと離脱の原因となりかねません。
本記事では、越境EC×ソーシャルコマースにおける決済方法の選定のポイントについて解説します。
越境EC成功のカギはSNS活用

出典:KOMOJU「越境ECは「SNS」で差がつく!話題のソーシャルコマースを解説」
越境EC市場では、SNSが購買行動に与える影響が年々大きくなっています。
近年、SNSとEコマースを組み合わせた販売形態である「ソーシャルコマース」という言葉を耳にする機会も増えました。
ソーシャルコマースの市場規模は、2023年には5,932億米ドルを記録し、2032年には9兆4,332億5,000万米ドルにまで成長する見込みです。
InstagramやTikTok、Facebookといったプラットフォームは、単なる情報発信の場から「購買の入り口」へと進化。
ショート動画やライブ配信を通じて、現地の言語や文化に合わせた商品紹介を行うことで、ユーザーの共感や信頼を獲得しやすくなります。
越境ECを始めたい方は、ターゲット国で買い物に使われているSNSプラットフォームを把握し、その特性を踏まえた販売戦略を構築することが不可欠です。
越境EC×ソーシャルコマースで決済方法が重要な理由

越境ECとソーシャルコマースの組み合わせにおいて、決済方法の整備は重要な要素の1つです。
SNSを通じて商品を見つけ、そのまま購入へと進む購買行動が主流となる中、ユーザーが使い慣れた決済方法に対応していないと、購入を途中でやめてしまうケースも少なくありません。
特に海外市場では、地域ごとに一般的な決済方法が異なるため、現地のユーザーにとって利便性の高い選択肢を用意することが求められます。
スムーズな決済体験は、顧客満足度の向上やリピート率にもつながることから、売上拡大を目指す上で見過ごせないポイントと言えるでしょう。
主な決済方法とその特徴・ユーザー属性

越境ECにおいてソーシャルコマースを活用する際は、各国の消費者がどのような決済方法を利用しているかを理解することが欠かせません。
決済方法は地域や文化、年齢層によって大きく異なり、ユーザーの購買体験や離脱率にも直結する重要な要素です。
ここでは、代表的な決済方法について、それぞれの特徴とユーザー属性を解説します。
- クレジットカード決済
- デビットカード・プリペイドカード
- デジタルウォレット
- ローカル決済
- 仮想通貨決済
クレジットカード決済
クレジットカードは、長年にわたって主流の決済方法として利用されてきました。
クレジットカード決済は、2024年の日本のEC取引額の55%を占めています。台湾、シンガポールなどでも高い利用率を維持している現状です。
ただし、近年はデジタルウォレットやA2A(銀行口座間)決済の普及により、利用比率は減少傾向に。
クレジットカード単体での決済導入に頼りすぎると、他のユーザー層を取りこぼす可能性があります。
導入時は他の手段と併用し、選択肢の1つとして扱うことが重要です。
デビットカード・プリペイドカード
デビットカードやプリペイドカードは、残高の範囲内で即時決済が可能な点が特徴です。
支出管理のしやすさから、クレジットカードに抵抗のある若年層や学生層に支持されています。
また、クレジットカードの普及率が比較的低い地域でも、デビットカードが利用される傾向があります。
ただし、アジア圏ではデジタルウォレットが主流となっている国も多く、デビットカード単体での存在感はやや控えめ。
とはいえ、銀行口座と紐づけて使うA2A決済やウォレットへのチャージ手段として、今後も一定の役割を果たすでしょう。
デジタルウォレット
デジタルウォレットは、スマートフォンを利用した決済方法として急速に普及しています。
中国ではAlipayやWeChat Pay、韓国ではKakaoPay、シンガポールではPayNowやGrabPay、フィリピンではGCashなど、各国で独自のサービスが主流です。
2024年時点で中国のEC取引額の84%、インドネシアで42%をデジタルウォレットが占めており、今後も利用率の拡大が予想されています。
利用者層は幅広く、とくにスマートフォンに慣れた若年層に人気です。
利便性の高さだけでなく、政府主導の普及政策も後押しとなり、多くの市場で欠かせない決済方法となっています。
ローカル決済
ローカル決済とは、各国・地域で特に普及している決済方法のことです。
たとえば、インドネシアの「BI-Fast」やマレーシアの「DuitNow」は、A2A決済のインフラとして整備されており、ユーザー間で高い支持を得ています。
これらの決済方法は、同国の金融機関や政府による後押しのもと、24時間365日即時決済を可能にし、EC取引の円滑化に貢献。
現地のユーザーにとって使い慣れた手段を用意することは、越境ECにおいて顧客満足度や信頼性の向上に直結します。
越境ECを成功させるには、進出先の国ごとに主流となっているローカル決済への対応が欠かせません。
仮想通貨決済
仮想通貨(暗号資産)を利用した決済は、まだ主流とは言えないものの、一部の国やユーザー層では徐々に存在感を高めています。
実際にシンガポールでは、2024年に仮想通貨決済がEC取引全体の1%を占め、2030年には2%まで増加する見通しです。
特にデジタルリテラシーが高く、新しい技術への関心が強い層に支持されており、匿名性や為替の自由度を評価する声もあります。
ただし、価格変動のリスクや規制の不確実性もあるため、導入にあたっては慎重な判断が求められるでしょう。
決済方法の選び方のポイント

越境ECで導入する決済方法を選ぶ際に重視したいポイントを4つ解説します。
- ターゲット国とユーザー属性
- 導入コストと手数料
- 使用中のECシステムとの互換性
- セキュリティ・不正利用対策
ターゲット国とユーザー属性
決済方法を選ぶ際は、まずターゲットとする国や地域で主流となっている支払い方法を確認しましょう。
たとえば、国によってクレジットカードが一般的だったり、デジタルウォレットやA2A決済が主流だったり、好まれる決済方法は異なります。
また、年齢層や購買傾向によっても選ばれる方法はさまざま。若年層にはモバイル決済やデジタルウォレット、中高年層には銀行振込や現金決済が好まれる傾向があります。
こうした属性を理解せずに一律の決済方法を提供してしまうと、カゴ落ち(購入途中での離脱)を招く恐れも。ターゲットユーザーのニーズに合わせた決済方法の導入を意識しましょう。
導入コストと手数料
複数の決済方法を導入する際は、初期導入コストや月額費用、決済手数料などを比較検討することが欠かせません。
特に越境ECでは、為替手数料や海外取引手数料が上乗せされる場合もあるため、収益に与える影響が大きくなります。
また、売上が一定に達するまでは、手数料率よりも固定費が少ないサービスの方が適しているケースも。
各決済サービスの料金体系を確認し、自社のビジネスモデルや予算規模に合った形で導入することが、長期的な利益確保につながります。
使用中のECシステムとの互換性
決済方法を選ぶ際には、自社が利用しているECプラットフォームやカートシステムとの互換性を確認しておく必要があります。
システムに対応していない決済サービスを導入しようとすると、開発コストや導入までの期間が大幅に増える可能性も。
たとえば、ShopifyやMagentoなどの越境EC向けプラットフォームでは、すでに多数の決済方法に対応していますが、すべての国のローカル決済に対応しているとは限りません。
事前にAPI連携の可否やプラグインの有無などを確認しておくことで、スムーズな導入と運用が可能になります。
セキュリティ・不正利用対策
ECサイトにおける決済には、ユーザーの個人情報や金融情報を扱う責任が伴います。
そのため、決済代行サービスを選ぶ際にはセキュリティレベルや不正利用対策の有無をしっかり確認しておくことが重要です。
たとえば、3Dセキュアや2段階認証に対応しているかどうか、詐欺検知システムやチャージバック対策が整っているかといった点をチェックしましょう。
特に越境ECの場合、国境をまたぐ不正アクセスや詐欺リスクも高まるため、信頼性の高い代行サービスを選ぶことで、顧客の安心感と自社の安全性を両立できます。
まとめ
越境ECとソーシャルコマースの融合が進む中、決済方法の選定は売り上げや顧客満足度に直結する重要な要素の1つ。ターゲット国の決済習慣やユーザー層に合わせた選択が求められます。
また、導入コストやセキュリティ面、既存システムとの互換性も忘れてはならないポイントです。
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消費者のニーズに対応できる決済方法を用意することで、ユーザーの離脱を防ぎ、安定した越境ビジネスの運営が可能になるでしょう。